色とりどりのガラスが織りなす「ヴェネツィアン・グラスの世界」[イタリア]
イタリアの伝統工芸「ヴェネツィアン・グラス」と聞くと、少し高価なガラスというイメージが強い人も多いのではないでしょうか。実際、お値段はお高いのですが・・・以前ヴェネツィアに訪れたとき、本場であれば日本で買うより安いであろうと思っていたのですが、気になった品はやっぱり高く、日本に持ち帰るのに割れたら嫌だなと思って購入を断念したのを覚えています。
旅マップ
ヴェネツィアン・グラスの起源は、謎に包まれている
色鮮やかなガラスが織りなす器がとても魅力満点ですが、まずは歴史をみていきましょう。実は、ヴェネツィアン・グラスの起源は謎に包まれているといわれています。第一候補の起源は、13世紀中世ヴェネツィア共和国が東西貿易の中心地だった頃、当時のヨーロッパで最も珍重されていたガラス製品を自国でもつくって利益を生もうとしたのが始まりであるというのが一節です。この話は13世紀ごろとされていますが、トルチェッロ島というヴェネツィアの島では7世紀~8世紀にかけてガラス工房跡やガラスが発見されているそうで、これを踏まえると第一候補の話ではちょっと筋が通らなくなってしまうことからヴェネツィアン・グラスの起源は謎に包まれているといわれています。
起源は定かではないものの、ヴェネツィアン・グラスが発展したのは確かに13世紀ごろであったのは事実のようです。当時のヴェネツィア政府はヴェネツィアン・グラスの技法を守るため、グラス職人や販売者、その家族に及ぶまでムラーノ島に住まわせ、島外に逃げる者は厳しく罰し、功績を挙げたものには手厚い褒章を与えたというアメとムチのような法令をつくり、模倣品や技術の流失を防いでいたそうです、徹底してます。
技術発展にはこの法令が功を奏し、職人たちが切磋琢磨した結果グラステーブルやシャンデリア、鏡など様々なヴェネツィアン・グラスを代表する作品が生み出されていきました。イタリアでは熟練した職人を「マエストロ」と呼び敬意をはらう習慣があり、伝統を受け継ぐ人をとても大切にしています。日本でも素晴らしい伝統工芸が数々残っていますが、後継者不足や認知不足により長い歴史に幕を下ろすところも少なくなってきました。「職人の国」として、イタリアに負けないくらい日常に伝統が溶け込んでいけたら嬉しいですね。
「ヴェネツィアン・グラス」を感じる写真
食文化
イタリアの食文化は、ご紹介するまでもなく私たちの食文化に馴染んでいます。パスタにピザ、ワインにチーズやハムなど美味しいものがいっぱいです。そんなイタリアの中でも、ヴェネツィアはアドリア海に面する土地なのでシーフードが美味しいです。ムール貝、イカ、ボラなど美味しい魚介類で溢れています。ボラの卵からできる「カラスミパスタ」や「イカスミパスタ」など魚介類を活かした料理も豊富で、魚介類好きにはたまらない土地ですね。




レストラン情報
地元の人たちで活気があふれる「Osteria al Cicheto」
肉厚でトロける食感のピザが食べられる「Trattoria Alla Ferrata」
最後に
ヴェネツィアン・グラスのように、素晴らしい伝統工芸が日本にもまだまだたくさんあります。その全てを後世に残していくことは難しいかもしれませんが、ひとつでも多くの世界の伝統が残っていけば良いと思わずにはいられません。もちろん伝統と発展どちらが正しくて間違っているという定義は誰にも決められませんが、バランスをとって国、土地が育っていければとっても素敵ですよね。そういう気持ちを強くさせるヴェネツィアン・グラスをぜひ一度手に取ってみてください。